着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

笑わせんじゃねえよ。

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『 着物?あー ……。

  ダメになってきたのは

  その価値が伝わりにくくなったから。

    高いお金を出してもその着物の価格や価値を

    わかってくれる人が少なくなったから。

    だからこれから“見栄”の投資はしないよ。もっと。

  ブランドもののロゴすらない世界なんだから。 』

 
 
 
これは数年前にある異業種の方に言われた言葉です。
 
どうでしょうか、私が34・5歳の頃だったかと思います。 
 
 
着物業界というのは1980年代に市場規模のピークを迎え、
小売ベースで当時年間2兆円の売り上げがあったといわれています。
その後、減少に次ぐ減少でついに2012年度には3000億円を
割り込むまでになりました。
 
しかもこの売り上げの中には「宝飾」「寝具」「健康・コスメ」「高級洋服」
の売り上げも含まれると言いますから純粋に着物のみの売り上げ高は
もっと低いものと考えられています
これもまたよく言われることですが、30年前の当時で2兆円です。
つまり今よりも貨幣の価値は違うわけです。
現在の業界売り上げの落ち込み以上に業界は縮小していると言えるわけですね。
 
いわゆるピーク前後に景気が良かった当時の時代というのは
バブル経済という事もあったかと思いますが着物を取り扱うお店は
町に溢れどんどんと競争は激化していました。
 
大きな需要の要素として『婚礼衣装』というものがあったからです。
いわゆる嫁入り道具として着物は重要視されるものの一つでした。
 
当時は当たり前のように着物というものを嫁ぐ際に準備をして
持っていくという事が当たり前になっていました。
むしろ、その着物の質や作家の内容が嫁がせる『家の格』を
決める重要な要素として考えられていたこともあった為、
衣装道具が地域によっては一回のお買い物が数百万という単位に
なっていたという時代でもありました。
そうなってくるといわゆるゴールデンラッシュといいますか、
ものすごい競争率になってきたり様々な効率化や競争化が
激しくなってくる時代ともいえると思います。 
 
より地域の同業他社よりも自社が先んじようと
さらに顧客の取り込みを行おうと各社躍起になっていました。
結果、サービスや値引き、セット内容などを拡充するという消耗戦に
突入する時代へと変革していきます。
 そんな時代からどんどんと状況が変わっていく中、
業界の状況は悪くなっていく一方でした。
 
悪くなる状況の中、
押し売りや囲い込み販売、いわゆる過料販売など表立って問題化し
着物業界は世間からするとより怪しい世界に見られるようにとなってきました。
 
 
「と、いうように着物業界は今までの業績が良かったのはそういう世情が
 あっていた事があって特にその後衰退した業界を活性化する為に努力
 というのを怠っているんですよ。
 今まで売れていた反動で現状は業界縮小は自業自得ですよ」
 
 
『 へー 』
 
 
「これまでの怠慢があったという業界ですから大幅に変革が必要で
 私も某チェーン店で色々と経験しましたがヒドイもんで…………… 」
 
 
『あのさ、さっきから聞いてると業界の衰退は
 自分の先代の時代が今まで未来を考えてなくて
 これまで色々行動してこなかったせい
 って言ってるように聞こえるけど、 
 結論言っちゃうと今の業界の現状は 
 その責任だけじゃないからね。
 
   大半はね“あなた方”です。
 
   なんかやったの?
    やってもないのになに愚痴ってんの?
 笑わせんじゃねえよ。』
 
 
 「え?」 
 
 
 『状況なんてその時代で変わるに決まってんじゃん。
  アンタ、着物が全盛期の時に自分がやってればもっと
  売れたと思ってんの?
  この業界入ってそこそこ経つんでしょ? 
  なにをやってきたの?
  なにをしたいの?やりたい事お客様に伝わってんの?
  どんな時代でもみんな苦労してるんだよ。
  今が一番大変なんじゃないんだよ? 
  愚痴言ってる暇で今後を考えてないから
  未来が見えないんだよ。 』
 
 
 面と向かってあまりにはっきりと言われて直立不動だった事を覚えています。
 
 正直、色々考えとるわボケーーー!と言いたいところではありましたが、
実際のところ今、現在の業界の衰退の理由の一つが
“先代が悪い、自分は悪くない”そう思っちゃって
被害者意識のまま何一つ行動を起こさない
私達現役世代にあることと考えると判ります。
 
どんな業界でも成功する人は
ひたむきに目標を持って努力を続ける人は愚痴を言わない。
いろいろと起こる辛いことや障害を乗り越えて実行に移す。
 
なんかそんな事をふと思い出しました。
 
 
その節は怒って頂きまして誠にありがとうございました。
 
 
おわり
 
 

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