着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

着物屋の跡継ぎってね。 2/4

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みなさまこんばんは。

おサボりオオツカです。

 

いきましょういきましょう。

続きいきましょう。

 

大学をぬるくぬるーく卒業した私が

就職先として内定を頂いていましたのが、

 

『 T 社 』(一応伏せますね)

 

ありがたいことです。

 

ほんとに感謝しておりますよ。

 

当時、こちらの本社が京都にあり採用も全国で

行われていないという状況でしたので

毎回試験の度に当時住んでいました

関東(埼玉)より面接、試験の度に新幹線で行っていました。

 

ちなみにこの頃の世情といいますのは

当時(1995年ごろ)は結構就職戦線は厳しめの状況で、

私の周囲含め就職活動はだいぶ早め・広めに動いておりました。

結構激戦の時期で受ける業種によっては殺伐としていたイメージです。

 

そんな中異業種や全くの畑違いのメーカー、サービスなど

いろいろと考え複数社受けさせて頂きましたが

最終的に選ばせて頂いたのは上記の

着物チェーン店の『T社』でした。

 

この会社は当時、

着物業界で市場規模としてはトップ10には入っていましたが

店舗数、売上とも急成長を遂げており業界では話題の会社でありました。

(名前は伏せておりますが関係者は多分みんな知っているという感じ)

 

私が実家に帰った場合に、

自身が経験した事が即時役に立つかもしれないという思いや、

様々な細かい仕事のノウハウやスキルが勉強できたり

着物業界にいながらも変わった視点でものが見る事が出来るかもしれない

(異業種の勉強会やコンサルなど学べる機会が多々ありました)

お仕事をさせて頂ければありがたいなーと思い積極的に採用を受けに参りました。

 

で、着物の業界がどのようなものかとほぼ前情報がない状態で就職致しました。

 

一番最初の赴任先は

某県のショッピングセンター内の店舗。

 

まずは1年働いてみての感想を一言で表しますと、

 

 

「  マ  ジ  っ  す  か  」

 

 

 この時の仕事の詳細については

すんごく長くなりますしいろいろアレかと思いますので

またいずれ別の機会があればしたいのですが、

私にはとてもとても続けられると思えるものではありませんでした。

 少なくともこの時は。

 

その後、実家が経営する着物店に帰る事となるのですが

このT社には丸3年間お世話になりました。

 

お世話になった分をしっかりとお返しや貢献が出来たかと

いわれますと全然出来なかった気がします。

完全にダメ社員だったと思います。

T社の採用担当、当時のお店の方、上司の方、関係各所の皆様

ご期待に添えず大変申し訳ありませんでした……。

 

私が退職した後、

この会社はものすごい勢いで急成長を遂げます。

着物を取り扱う会社としては

売上高、店舗数共に規模で日本トップクラスという所まで。

 

しかしながら

さらにその数年後倒産の憂き目にあう事となります。

グループで数千名の社員、関係各社、取引先などを巻き込み影響は業界全体に。

倒産から数年が経過しますが、

いまだその影響を引きずっている場所も多々あります。

 

この会社が右肩上がりで成長をしていくのを横目で見ながら、

私は父のように同じような働きが出来ないにしろ

いずれ継がせてもらえるであろう実家の会社を

維持、発展させていくための勉強と思っていたのですが

 

こんなに大変な環境で今後ずっと

商いをしなければいけないのか

 

正直愕然としてしまったのを覚えています。

 

続けていけるかどうか不安。

というか、「無理」と思っておりました。

 

幸い実家の着物店は「販売方式」や「商品の内容」などは

T社とは違うようなものではありました。

お客様も非常に楽しそうにお買い物をして頂いていましたしね。

スタッフ間もお客様や関係者などとお店は

ギスギスとはしていなかったと思います。

 

しかしながら自分の能力や今後の業界の情勢の予想などを

考えると厳しさが増す事は目に見えています。

最終的に自分一人でやっていかざるを得ないわけですし。

 

T社在職中に今後をどうしようかという

悩みを父に打ち明けてみる事にしました。

 

 

「自分が着物屋をやっていけるかどうか分からない」

 

 

「自分の性格では今のような接客営業は難しいと思う」

 

 

 

そうすると、父はこう言いました。

 

 

「え?お前ウチの会社入る気?

        やめとけやめとけ。」

 

 

え。

 

っと。

 

「えっ?」

 

 

よく考えるとですね。

ちなみに社会人になってからというか、

子供の頃も含めまして父からは一度も言われたことがない(たしか)のです。

 

『お前が後継(あとつぎ)だぞ。2代目』

 

『ウチの会社いつ入社する?』

 

 こんなのなかったなと。

 

もちろん自分の後を継いで欲しくないなんて事はない(ですよね?)

と思うのですが結構そんなユルさだった事を覚えています。

 

私が勝手に身構えていて悩んで

今後自分が一人でどうやって会社をやっていこうとか

会社の方針がガッチガチで変えられないんじゃないかとか、

着物業界の厳しさがあるから業態の変更を考えなきゃとか、

あくまでウチはですがあまり関係なかったです。

 

自分一人で悩んでてアホらしかったです。

なのでもしこういう状況の後継者やご家族の方、

一旦落ち着いてのぶっちゃけお話し合いオススメします。

 

認識って結構ズレてますよ。

 

や、実家の会社入りたいんですが無理でしょうか?

できれば後継とか。

もしよければですが。あのー。

 

 「あーそっか。分かったー。

 でも、お前じゃウチ無理だから

 じゃあ、なんか考えるわー」

 

 

ザックリいうとこんなノリでした。

 

悩んでると損ですよね。