着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

自分にとって“生涯現役”的なアイテム。出会えれば最高ですな。

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みなさまこんばんは。

オオツカです。

 

おととい奈良の中川政七商店の中川社長と打ち合わせ中に

メモを取ろうとゴソゴソいろいろ出した時の事。

 

「あ、なつかしい!」

 

写真のモノを見て中川社長が一言。

 

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はい。

私のペンケース。

両端を手で開くバネ口(ばねぐち)の構造で

本来は、メガネ入れとして当時販売されていた

「遊中川」ブランドの麻の定番商品です。

試しにペンを入れてみたら長さといい、薄さといい、

私好みでピッタリでしたのでずっと使っておりました。

 

「10数年前の商品ですよ、それ。すごいな。」

とっくの昔に廃盤だそうです。

 

あーそれ位使ってますねえ。確かに。

外側は麻の生地。

でも全然使用してヘタって来ないし中も綿の裏生地でしっかり丈夫。

多少の汚れはさすがにありますがぱっと見そんなに使っているように 

見えなくて一見ペンケースに見えないのが個人的に好みなのです。

 

これを使い出してからカバンは何種類も変わったり、

日々の仕事と出張やプライベートなどカバンを使い分けますが

このペンケースはずっと一緒。

失くさずに今でも使い続けています。

 

パソコンやペンホルダー付きの手帳(こいつも古いなあ)がありますが、

ペンはペンケースへの習慣。

アナログからデジタルへと時代は変わりますが私のこのスタイルは変わらない。

 

「なんかうれしいなあ」と中川社長。

このケースはお母様の専務さんがデザインされて出来た商品なのだそうです。

 お、なんかこういう感じ久しぶり。と思いました。

 

私たちが使っているすべてのモノには必ず 

 「生産者」がいます。

一つ一つ手作りのモノから、工場の大量生産のモノまでさまざま。

 

その生産者のモノづくりの過程の中には、

 

『使われる方にこんな気持ちになって欲しい』

『今まで不便だったのを改善出来れば』

『自分の思いを具現化して発表したい』

『もっともっと良いモノを使ってもらいたい』

 

などの思いが強く入るモノもある訳です。

(あ、もちろんそれ以外の単純なものも大いにあります)

 

あくまで製造コスト、販売価格の設定や流通、販売コストなどを

考えながらですからすべて作り手の思いのみで材料や製造やデザインを

決定する事はできません。

 

ので、みなさん考えに考えて

自分のやりたい事とさまざまな都合の

 

「ギリギリのバランスで作れる一番良いと思うモノ作り」

 

を行い世に次々と発表をしていきます。 

 

それがクリエーター気質の高い人や会社であるならばなおさら

細部までの詰めを驚くほどのこだわりをもって取り組みます。

商品を販売まで持っていく事そのものが膨大な努力と手間をかけている

そんなモノもたくさんあり、しかもそれが売れるかどうかは別問題。

良いモノ、自社独自のモノを作ればファンができ売れる訳ではないのです。

非常にシビアな世界の中、みなさま日々凌ぎを削っているわけですね。

 

話は少し変わりますが、

これで今大変なのが「伝統工芸」「老舗の」「零細の」といわれるもの。

一つの例でいえば、我々着物業界です。

 

作り手は本物の国産材料や確かな伝統技術を使ってモノを作ろうと

努力されています。

でも年々着物を取り巻く状況が悪くなり出荷価格自体が低下する傾向にあります。

 

そうなると、

 

今までよりも沢山のモノを作らなくてはいけない。→売れない。単価も下がる。

 

コストを削減、でも良いモノは作りたい→  

       自分のお給与など削減しょうがない。長時間労働しょうがない。

 

昔ながらの伝統技術取得までに長い年月→

       条件が良くないので成り手がない。現代の技術とミックスさせない。

 

と、このような状況。

 

良いモノ作りをしていれば分かる人はいるはずだ。

本物の、伝統的な、事を正直に行っていればいつか報われる。

日本人だから国際的イベントがあればまた盛り返す時も来る。

と思っていらっしゃる方がなんと多い事か。

(私もそう思っていた時がありました)

 

でも、今の時代は

 

どんなに苦労して作っても、

イデアをひねり出しても

お使い頂くお客様に“知られなければ”

存在しないに等しい時代なのです。

 

そこには日本最高の伝統技術や商品品質、日本最安値、テレビで有名になった

などというモノばかりではありません。

 

しっかりと「使ってもらいたいお客様に」自分たちの製品を使うメリットを

お伝えしてその価値をご理解頂きながら作り手の思いを聞いて頂く。

その部分が大事なのかと思います。

 

インターネットとか自分からの発信は仕事には関係ないことと思っているあなた。

 

その部分も努力してみましょうよ。

知れば一生使いたい。値段なんて関係ない。あなたから買いたい。

そんなお客様は必ず見つける事が出来ると思いますよ。

(ただし、継続して伝え続ける事が重要ですが)

 

私は、今後ペンケースをいくつか購入するかもしれませんが

今使っているものは現役で使い続けると思います。

たぶん使用不能のボロボロになるまで。

 

まあ、そこには私の購入時の思い出や使い勝手、確かな品質など

条件はあると思うのですが

でも確かな事は、

 

作り手のあなたの作った商品はどこかの誰かが愛して使い続けてくれるという事です。

 

だからもっと知っていただくように発信してもらいたいなあと思います。

 

ハイ。

 

あと告知です。

開け、工場! 工場の祭典 - Factory Festival

新潟燕三条市の町工場の祭典が本日よりはじまっています。

作り手の思いやモノ作りの経過など参加して直接みたり聞いたり

できるイベントです。

私も行きたかったのですが、都合上無理に……。

気になる方は是非お立ち寄りくださいね。

 

あと、

パン切り包丁などでカンブリア宮殿などにも出演したタダフサさんの

ファクトリーショップもオープンします。

ここのレセプションは行きたかった………。残念。

 

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んー。しかしかっこいいなー。

使ってみたいなー。

そんな感覚が大事かなと。

 

本記事、とりとめもありませんがこの辺りで。

 

本日も最後までご覧頂きまして誠にありがとうございます。