着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

大塚呉服店物語⑫

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これまでの物語一覧:

大塚呉服店物語 ① - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ② - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ③ - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ④ - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ⑤ - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ⑥ - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ⑦ - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ⑧ - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ⑨ - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ⑩ - 着物屋をやっています

大塚呉服店物語 ⑪ - 着物屋をやっています

 

みなさまこんばんは。

オオツカです。

 

忘れた頃にやって来る。

本日は超久しぶりにこのシリーズ続きをやってみましょう。

よろしければお付き合い下さいませ。

 

 

 「大塚呉服店でいきましょう」

 

 ミーティングの開始冒頭からの山田さんの発言。

 

この日は 新しく誕生させる着物店の骨子を決めていく重要な打ち合わせでした。

ほぼ全員関係者が集まりって狭い、暑い、旧京都店の2Fで話し合いを。

すでに進行中かつ様々な問題点が発生している 施工の話や、

一向に揃わない商品や店舗のテイストなど問題は山積。

やる事は盛りだくさんしかも時間はないと。

残暑が残る焦る秋の京都の日でありました。

 

事前に弊社の情報は全てお渡しをしていました。

会社の成り立ちから商品の仕入先、在庫、スタッフのデータなど様々。

上記は新ブランドの屋号についての提案でした。

 

話は少し逸れますが、

私は現在着物小売店の会社の2代目をさせてもらっています。 

 

先代は(といっても会長職で現役中)私が生まれる前から

当時勤めていた呉服店から独立、開業し、

店舗なし・お客様なし・仕入先なしの状況からスタートしました。

店舗もお客様もありませんから知り合いや友達のお家にお邪魔をするところから、

商品の仕入先もありませんから京都の問屋を何件も回っては断られを続けながら、

(商圏バッティングや信頼関係で)

数件お取引してくれる所をなんとか確保をしながらの立ち上げと聞いています。

 

そんな約40年前の独立、会社を立ち上げる更に前に使っていた

名前、屋号が「大塚呉服店」であります。

 

しかし実は新ブランドの屋号に大塚呉服店という名を使おうという

意見については私をはじめ現場のスタッフも違和感を感じていて

別の名前も検討したほうが良いのではないかというのが正直な話なのでした。

 

なぜか?

当時大きく感じた3つの事。

 

1つ目

店名からしてすでに「固い」「古くさい」「怖い」イメージを

お客様に与えてしまうのではないかという恐怖。

 

私ども着物に関わるお店は代々続く所も多く、

一般のお客様からすれば『〜呉服店』という名前だけで

店構えやイメージ的に敷居が高いイメージをしてしまう。

まして、今から始めようとするブランドは初心者〜中級者の

着物ファンのお客様がメインターゲットなのに……と。

 

2つ目

せっかくお金を投じて新しい事をはじめようとしているのに

昔の、しかも自分の名前を冠したネーミングって 今時どうなのよ?

と率直な思いや恥ずかしさ。

それに新しい感じがしないというイメージ。

 

3つ目

「呉服店」って……。 

 これから取り扱うものに絹織物とかは価格面的にそんなに取り扱えない

のに名乗ってしまって他の老舗に何て言われるか不安。

 

という部分が主に思い浮かびどうしようかという場に、

1、2について山田さん、中川さんにズバリご意見を頂きました。

 

「最終的に決めるのは大塚さんですけど

 屋号というのはブランドのイメージを決める。

 名が体を表す。

 誰の為に何の為に考えるかという事は

 自分の思いと一緒に入れたほうが良いと思います。」

 

 「とどのつまり、

 

 お客さんにこのお店が何屋か認識してもらい易くする

 

  という事。

  それと、自分のお店が取り扱っていく商品やサービスが

 

 あちこちにならない芯がぶれない覚悟

 

  を、今回のブランドでは表さないといけないと思うんです。」

 

 「これまで簡単なイメージや言葉の印象だけで特にこれといったコンセプトも

 固めずに着物屋は名前や方向性を決めていたように思います。

 外から見るとそのように見受けられます。

 だから安易に横文字をやカタカナを使ったりしたお店の名前がポンポン

 登場してはいつの間にか消えていく。

 結局取り扱いの商品や当初のコンセプトもコロコロ変わり

 お客様からすれば何がしたいか分からないという結果になってしまっていますよ。」

 

 

無論、即決しました

 

 

もしもお客様に自分たちの思いを伝えたいのであれば

その為の覚悟を表す一番の表現は『屋号』からであろうと。

自分たちにも、お客様に対しても。

そしてこれがある以上、安易に雑貨や洋服などその時その時売れやすい

商品や儲けやすい方法に逃げたりせずお店立ち上げ当初の思いを

忘れる事を踏みとどまらせてくれるものになると感じたからです。

 

尚、3つ目の懸念についてですが、

山田さんと、さすがのデザイナーが粋なご提案を。

 

「あまりに細部まで気にする事はないと思いますが、

 “呉服店”という意味がそういうものであるのならば

 気持ち表現を変えましょうと。」

 

店名やロゴマークの右下に表記されている

©(ピーライトマーク)著作権保有の印、

®(アールマーク)登録商標保有の印、

などのように、

大塚呉服店も独自のマークを入れる事で

それを含めた一つのロゴとして考えれば良いのではないか?と。

 

で、できたのがこちら。

 

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大塚家の家紋『違い鷹の羽』を屋号に入れた

『 ロゴ 』として全体の表記をする事にしました。

 

これによって“呉服店”の様々な解釈をしていただけるかと(笑)。

それよりも大事な事はお客様の着物に対する認識かなと思います。

まずは認識して頂く事。

それからですよね。

 

色々とバタバタの中ですが

やっと屋号とロゴが決まりました。

 

お店もまもなく完成に近づきます。

商品もなんとか準備ができつつあります。

 

だがしかし、問題発生。

してしまうんですよね。

設定をしたオープン日は待ってはくれません。

こんなやり取りでも後ろを振り向けばTVカメラを向けられています。

今から考えると面白い出来事ですが。

 

このお話はまたいずれ。

 

本日も最後までお読み頂きましてありがとうございます。