着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

「ゲームは一日一時間」 そりゃないぜ、名人!

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みなさまおはようございます。

オオツカです。

 

今から30数年前、自分が何歳くらいの頃かは覚えてないのですが

私が住んでいた町内でTVゲームを買ったという家がありました。

カセットビジョン」というゲーム機でやったPONテニスが

最初だったと思います。

TVの前で友達みんな集まってワイワイやっているというのが

当時の自分としては衝撃的であり非常に楽しいものでした。

こんな面白いものがあっていいのかと。

 

その後、京都で花札やトランプの製造を行なっていた「任天堂」が

いくつかの失敗を重ねながら1983年ついに

ファミリーコンピュータファミコン)」発売されます。

 

今までに市場には無かった「家庭用ゲーム市場」というものが

誕生しその規模は年を追うごとに拡大していきます。

(ゲームセンターなど業務用は「アーケードゲーム市場」といいます)

 

市場の形成、拡大は私の青春時代ともリンクし

大学生の頃はついにゲーム市場に「SONY」が参戦したという事で

その盛り上がりは最高潮に。

そのハマリ具合はなかなかのもので、

当時付き合っていた彼女にも「私とゲームどっちが大事なの!」と迫られ、

「今は、………詩織を落とす事だけに集中したい」と答えると、

殴られて泣きながら部屋を出て行かれ、フィニッシュしたのも

今となっては良い思い出です。

 

そんなゲーム市場のピークというのはいつかご存知でしょうか?

 

売上高でいえば1997年に記録した7600億円という数字で、

その後減少を迎えますが、任天堂の「DS」や「Wii」などの台頭で

2007年に再び7100億円という売上規模まで戻します。

 

そんな中、気になる昨日のニュース。

 

最新情報によると売上高3733億円という事でこの7年間で半減近くまで減少。

それに対してソーシャルゲーム市場は2007年時4億円だった売上高が

最新情報では5600億円にまで拡大しています。

 

ここだけ見ると、

「家庭用のゲーム機のお客さんがスマホの普及で

ソーシャルゲームに流れてしまったんじゃないの?」

と思われるかもしれません。

確かにそれは一因ではあるかもしれないと思うのですが、

私は全てではないと考えてしまいます。

 

似たようなケースがまさに我々着物業界です。

着物業界は1980年代に売上ピーク時2兆円規模の業界でした。

それが今では3000億円を割り込む市場規模まで減少しています。

 

年々落ち込んでいく業界の推移の中でひときわ大きい事件が起こります。

2006年に起こった

大阪の「愛染蔵」と京都の「たけうち」という大企業の連続倒産です。

この2社の売上規模は700億を超えるといわれ業界の市場規模の

売上の1割以上が一瞬で消滅してしまったという事です。

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で、ここで考えるわけですがこの時というのは

会社が消えてしまっても「商品」と「人材」は無くなっているわけではないんですね。

流失してしまった商品の確保と優秀な人材の囲い込み、店舗とお客さまの確保を

行なえばある程度の市場を自社に取り込む事が出来ると

関係各社が躍起になって争奪戦になりました。

 

その結果どうなったかというのが上記のグラフです。

維持どころか毎年一割以上の減少を止められず、ついには着物業界に

参入してきた業者も相次いで店舗や部門閉鎖されていきました。

 

これって最初のゲーム業界でいうとソーシャルにお客さまをとられたから?

着物でいうと洋服などのアパレルでしょうか?

ユニクロさんや高級ブランド店に流失しちゃったとか?

そんなわけないですよね。

 

着物に『価値を感じなくなった』からです。

 

もちろんデフレという経済の流れもあるでしょう。

多種にわたる個人の趣味志向の広がりや

時代の移り変わりによるお金の使い方、考え方の変化もあるでしょう。

 

でも、「いらんものはいらん」のです。

 

【貴方(着物)が必要だ】

 

と思って頂く為には着物に興味が無い方に対して

有益な情報を発信し続けて関係性を作っていく他ないんです。

品位、知性、伝統、技術、歴史、センス、一度限りのビジュアルの発表

それだけを押し出すだけでは “継続して” 着物に興味を持ってもらったり

実際に着用、所有しようというマインドまでには到達しない

気がしてならないんですね。

(それ自体が悪いとはいってませんからね。

 一つの原因のせいにする考え一辺倒がいかんと思うだけです。)

 

「業界が縮小してしまう原因が自分達以外にある」と

考え、思考停止してしまう事が間違いなのではないかと思います。

お客さまに届くそれなりの「編集」と「見せ方」「整理」、

それを継続して伝わるように発信し続けることこそ

今すぐ行なう事なのかなと着物やゲーム業界の記事を見て強く思うのです。

 

着物の市場規模を大きくする、ピーク時に戻すという事ばかりが

正しいという事ではなく業界の人達が現状の市場の中で

自分たちが「やりたい事」に共感して頂ける可能性のあるお客さまが

『着物って本当にいいね』と言って頂き、それが口コミ(SNS)で広がっていく。

その適正な市場規模が2兆円ではなく3000億円であるならばそれで良いと思います。

むりして広げる事はなく、その内容を準備して突き詰めていきたいなと。

 

ゲーム業界もいろんな変革をおこそうとしています。

私はこれが決して正解とは思いませんが、

業界にとっては試行錯誤の末のまずは第一歩なのかもしれません。

 

それぞれの業界いろいろありますが

やるべき事はまだまだ残されているような気がしてなりません。

今まで面倒なのでやっていなかったという事も含めて。

 

まあ、私は大きい事ばかりいわずに自分の周りからまずは

変化をおこせるように行動していきたいと思います。

 

本日も最後まで読んで頂きましてありがとうございました。