着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

浴衣は着ますでしょ?

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こんばんはオオツカです。

三ノ宮駅地下のイベント初日が終了して帰って参りました。

超たくさんのお客さまにご来場頂きました。本当にありがとうございます。

 

この時期のイベントにはいろいろなアイテムを出品しておりますが、

メインとなるのはやはり「浴衣」です。よくいではなくゆかた。

 

今年はですねー、浴衣商戦がアツいのですよ。

数年ぶりに復活する『ユニクロ浴衣』をはじめ『イオン』などのGMS

洋服メーカーやセレクトショップ、きもの専門店、WEBショップなどの

オリジナルなどみなさま気合いの入り方が例年になくすごいんです。

しかも女性ものだけでなくて男性ものも今年はラインナップ多いそう。

(大塚呉服店各店ではお取り扱いしておりませんが)

 

弊社も今年はアンティークをモチーフとしたオリジナルの浴衣(冒頭写真)など

数種類を製作致しました。

早くも売り切れている色のものも出ています。

 

お客さまの期待感もスゴく感じます。

さあ!お早めに!今年は浴衣を着てみましょう!

おわり。

 

って、オチにしてもまるで面白くないので

今日はここで少し考えてみましょう。短いしね。

 

普通に考えると思いますよね。

 

「浴衣って着物の一種でしょ?」

 

んで、

 

「着物は着ないけど浴衣は着るなあ」

 

もちろん毎年着るという訳ではありませんが

例えば最後に着物を着たのが20年前というレベルではないという事です。

 

夏になると浴衣を着てで歩く人をよく見るように、

お祭りや花火大会、デートや季節のコスプレ感覚で着たりと

そのシーンは様々です。

 

なんで浴衣は着物を着るという事に比べて抵抗が少ないのでしょうか?

 

その前に大雑把に「着物」と「浴衣」の違いを確認してみましょう。

 

【素材、仕立ての違い】

 

 一般的に着物は絹や木綿、化学繊維、麻、ウールなどの素材を使って

着物の表生地と裏生地を合わせて仕立てをする「袷(あわせ)」という仕立てと

裏地がなく表生地のみで仕立てをする(厳密には一部ありますが)「単衣(ひとえ)」

という仕立てを着物を着るシーズンやTPO、種類によって変えます。

 

それに対して浴衣は主に木綿や通気性、吸湿性が良い化学繊維などの素材を

着物よりも薄い生地に織って使います。お仕立ては「単衣」仕立て。

 

【着方の違い】

 

着物は下着、肌着の上から「長襦袢」を着てその上に着ます。

これは「袷」の着物だけではなく「単衣」の着物も同じくです。

対して浴衣は下着、肌着の上から直接着ます。

 

【着付けの違い】

 

上記の長襦袢着用の有無も関係してきますが最大の違いは帯結びでしょう。

着物の場合は着用目的が式事などの場合きちんとした手順の帯結びの知識や

経験が必要になりますが、浴衣は比較的簡単に結べます。

YouTubeなどにも動画がバンバンでてます。何度か練習すれば結構いけます。

というか兵児帯やリボンなどで結ぶ荒技もあります。

 

で、これ以上の知識系や着付けのテクニカル的なお話は他の着物系HPや

ブログにお任せするとして、

私は思う訳ですよ。

 

「浴衣並みに着物を気軽でルールに縛られなくするだけで

 今より着物を着る人増えるんじゃね?」

 

すごく当たり前の事なんですが、なんでこんな事すら出来ていないかっていうと

 

①着物業界とそれにまつわる人達が正装の着付けやルールを押し付けすぎた

 

②それが当たり前となっていわゆる「着物はちゃんと着よう原理主義者」が

 増え、正装着ではない普段着やおしゃれ着までも上記のルールに当てはめようと

 口出しをしたり違和感ビームを浴びせたりして初心者つぶしを行なっている

 

③普段着はルール無用で着てもOKという事をビジュアルで見せたり、告知活動を

 していない。又は、なぜか「違う方向」に走ってしまう事が多く見受けられる

 

などなど。

解説をしますと、

 

①と②については、

着物が「高尚なもの」「日本人の心そのもの」って考えが未だにある事が原因の

一つと考えています。

 

着物=正義 反論は許さぬ。的な。

 

破っちゃいけないルールや守っていかなくていけない品性や知識は大事と思いますよ。

でもだからって普段着と式服のルールをよってたかって一つにしちゃいかんでしょう。

 

念のために申し上げておきますとそれがダメというんではなくて、

全部それに当てはめて一括りにしてしまっているのが現状と認識する事なのかなと。

日常着として着物を着て欲しいと思っている弊社ですので、

もうちょっと自由にしたいなあ。と思う訳です。

 

③について。

なぜかわからないんですが、着物を見て頂く手段として

ファッションショーを多用します。ちょっと粋筋や普段絶対着ないような着物を

モデルさんに着せて。年間結構な量で行なわれます。

あれってその後、着物が広まったり売れたりした事あるんでしょうか?

(私、情報がなくて恐縮なのですが業界の方良ければご教授頂きたいです)

 

ビジュアルで見せるというのは自社のHPやインスタグラムなどはじめとする

SNSなどで着物に興味がない人でも見てもらえる機会を増やすって事です。

このSNSの世界の上では「着物」ってまだまだ少ないんですよ。

(という私もごく最近はじめたばかりですがスイマセン)

業界関係者の情報発信が決定的に少ない。

着物ファンの方が孤軍奮闘している感じがします。

ここはうちももっともっと頑張ります。

あ、その結果マスメディアにも注目してもらえるとより広がりますよね。

 

”今どきの”  ”無理のない”  ”大量の知識がいらない”

”気軽” な着物の提案とフリールールのススメをどんどん押していきたいなと

思います。繰り返しますが「普段着」はね。

あと違う方向というのは

「ヤンキー系」「ファンシー系」「コスプレ系」などが見た目で分かり易いので

メディアなどに取り上げられやすく『あー着物ってこういうものなんだー』って

思われる事もあるって意味です。この時点で敬遠する方もチラホラと。

(上記の系統が悪いって意味ではありませんので)

 

いずれにせよ、

着物の構造や形自体を現代の生活スタイルに合わせて作り替えるその前に

やる事ってまずはそこなんじゃないかなあと大量の浴衣に囲まれながら

思ったそんな本日でした。

 

明日は東京!

あれこれやってみよう。楽しみです。

 

本日も最後まで読んで頂いてありがとうございました。