着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

大塚呉服店物語 ⑧

 

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                             Designed by Yusuke seki

こんにちは。オオツカです。 

 

「じゃあそれでいこう」と。

 

不動産屋さんとたった一回の打合せで決まった新物件。

ほとんど交渉なし。いやあカッコいい大家さん。

関係者みなさんにお伝えして。ハンコ押して。

 

さあ、スタートです。

 

 今回は物件編。

 

 

ふう。

 

 

勢いもあるでしょう。

もうやっちゃたしね。

 

 

でもここはそれを大事にしたい。

 

 

ココが自分の会社と着物業界を劇的に変えるきっかけに

なる事を信じて動き出そう。

 

 

やるよ!

 

 

しかし。簡単ではないよね。

 

 

えーと。

 

 

どうしようかなコレ?

 

 

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築80年。

昔ながらの手作りお豆腐屋さんを営んでこられていた

製造兼直売のお店。

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井戸とか余裕でありますし、床石もハンパないサイズ。無垢だねコレ。

1枚300kgオーバーだそうな。

油揚げなど作っていた暖炉的な所も煉瓦敷き詰めものすごい重量感。

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おっきい配電盤や小上がり、

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ほぼ外じゃんっていうトイレ前と階段。

さすが京都ならではの「45度越え」の角度の階段です。

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2Fもこんな感じ。

天井高は2mちょいですので圧迫感ありますよね。

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さて、図面もない。築年数も多い。躯体も正直マズい。

もともと水ものの製造業をされていた。そんな物件。

「着物」の「小売店」にリフォームしますよ。

 

でも予算もそんなに余裕あるわけでもなし様々な決めごとも決まっていない。

そんな中、中川・山田両氏から質問。

 

「着物っていつが一番需要が多いっていうか、楽しい時期なんですか?」

 

えーと。京都においてはやっぱり「秋の紅葉シーズン」かなと。

暑くなく、寒くもない気候で紅葉やイベントも多いし、

なにより着物のコーディネートがいろんな小物含め装いが出来る

「12月」前と思いますよ。 

 

「えーと。(カレンダー確認)じゃあ、11月23日の勤労感謝の日

 金曜なのでココのオープン目指しましょう」

 

ほう。3ヶ月でやっちゃいますか。( ← 慣れてきた)

出来るのかな?全然何も決まってないよ?

でも、まあ多分大丈夫かな。

 

4月に相談。

7月にコンセプト、物件検討。

で、今11月オープン決定。約半年で全部決まって来ていますよ。

 なにこのスピーディーさ。

いままでの着物業界では普通ないでしょうねー。

 

でもココが大事なんだろうなぁ。

という事で動いていきます。

 

もちろん図面とかないのでなにをおいてもまずは測量からですが、

予算ないので関さん自ら測り。

私も立ち会います。

 

 この日の事は良く覚えています。

ここのオーナーさん(おばあちゃん)もいろんな片付け作業を

しているのも相まってたくさんお話をさせてもらいました。

 

 

関さんがどうしてデザイナーになろうと思ったのか。

 

今後どんな事がやりたいのか。夢はなんなのか。

 

おばあちゃんがどんな経緯で嫁いで来たのか。

 

亡くなったご主人はどんなひとだったのか。

 

豆腐屋さんという仕事がどんなものだったのか。

 

私がどうして着物屋の跡継ぎになろうと思ったか。

 

某着物チェーン店でどんな体験をしたか。

 

お借りするこの場所で何をしていきたいのか。

 

おばあちゃんのお知り合いの餃子屋さんから差し入れてもらった

焼き餃子を食べながらそんな話をしていました。

 

詳細は参加者だけの秘密。

 

というかこの時、オーナーの「なかや」のおばあちゃん。

実はバスケの全日本女子でPGとしてレギュラーメンバーだった事や、

(このおばあちゃんスゴすぎ)

関さんもバスケをやっていてみたいな話で超盛り上がっていましたよ。

 

あ、ちなみに私は帰宅部でした。

 

この後すごく大変な作業になるんですが今になって思い返しながら考えると

「物件オーナー」と「賃貸オーナー」と「施工責任者」が

一緒に過去の話と今からの夢の話をするってシチュエーションは普通ないですよね。

 

それぞれが損得勘定抜きでワイワイやってる。

 

 3者共、損するかもしれない可能性がある中でこんなお話。

 

あー。いいなぁ。

 

こんなに楽しくお店作りしながら、

 

お互いよく分からない、知らない中でこんなにぶっちゃけたお話して、

 

しかもこのあと着物屋さんが出来るわけでしょー。この観光地に。

 

これは楽しそう過ぎるし、絶対成功させなきゃなー。

 

 

この時はお店の大枠では決まっていたけれど細部のコンセプトも

決まっていなかったですし、

どんな「商品」「販促」「お店」を作っていくか分からない状況でした。

 

しかも、”締め切り”を決めた事で様々な制約が出てきます。

 

期間がなさ過ぎる!技術的に無理!と言われたり

デザイナーの要求や私の要求と予算が違いすぎるといって

断られる工務店さんなどもありました。

中にはそんな面倒くさい行程をなぜしなければいけないのかと

怒ってくる所もありました。

 

いろいろと考え進行していく中で今までにないお店、

お客さまにとって

 

「お店に来たくなる」

「着物を着たくなる」

 

このお店を作るっていうのは生半可な事じゃないぞー。と感じながら。

 

お客さまにとって

また今はまだお客さまではない人に振り向いてもらうためには

考えて考えて考えて、実行して実行して実行して、

失敗しながら次はどうしよう?とみんなで笑える環境にするべきかな。と。

(もちろんまだまだ作れてません。難しいです)

 

やるぞ!と思いながら超暑かったスゴい晴れた夏の日でした。

 

 この時、汗超かきましたね。超ね。

 

本日も最後まで読んで頂いてありがとうございました。