着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

デザイナー氏とわたくし 前編

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こんばんは。オオツカです。

 

現在、弊社「大塚呉服店」においてはデザインおよび

トータルのディレクションを立ち上げよりずっと

関祐介さんというデザイナーにお願いしています。

 

以前にもご紹介しましたが、

彼のほんの一部の仕事ですが手がけた物件の写真と解説がでているHPです。

                (スクロールは上下だけでなく左右もありますのでご注意)

 

 そんな彼と出会ったのは京都店でのブランディングの打合せの折、

「今から成長するであろう活きのいい若手デザイナーがいる」との事で

methodの山田遊さんのご紹介で初顔合わせしました。 

                   大塚呉服店物語 ⑥ - 着物屋をやっています

 

今、「大塚呉服店物語」なるものを書いていますので京都についての話は

しませんが弊社における彼の仕事の領域というのは結構広く、

 

【店舗ロゴや名刺、DM、HPなどのグラフィック周り】

【店舗やPOPUPなどの什器、家具を含む設計およびディスプレイ】

【販促物(ショッパーなど)や一部商品の開発】

【企画、イベント等の相談や最新デザインや店舗の紹介】

 

なんか箇条書きで書くとすごいな。

まとめると「お店のデザインが関わるもの全般」という事ですかね。

 

今回はこれを良しとするかどうかという話ではなくて、

私がデザインというものの見方、考え方が

(中川さん、山田さんはもちろんですが)

彼によって大きく変わる事になったという事例を書いていこうかなと。

 

ちょっと話は逸れます。

以前に少し書きましたが、

私たちの着物業界というのは「デザイン」というものの理解が

今現在低い業界であると事例の事です。

(もちろん以前の私も含めてね。いや、今もか。)

 

たとえば ”お店のあり方” について。

 

店舗の内外装や販促やスタッフのおもてなしなどの事もありますが

簡単にまとめちゃうと、 

 

「高いものを売っている割にあらゆる部分で気が利いていない」

 

「お客さまはそんなお店の姿勢に気付いてしまっている」

 

事かなと。

ちょっとした洋服屋さんでも出来ている事がどうして着物屋さんは

出来ないのか?

 

だって、HPもない。SNSもよく分からないからやらない。

チラシもお金かかるから作らない。

楽しい提案や企画を作る手間をかけられない。

他店との差別化は価格の値引きやサービス合戦。

独自化なんて考えた事もない。関係性?なにそれ美味しいの?

お客さまがお店の事を知る、触れる、タッチポイントが少なすぎる。

 

という原因があるんですよ。というか事実。

(もちろん丁寧に長年のお付き合いをされて関係性を作っておられる

 着物屋さんも相当数いらっしゃいますよ)

 

実は、私たちの世代の一つ上が着物全盛期の頃でして

着物という物は生活のというか婚礼の”必需品”だったんですね。

 

ものすごく失礼な言い方をすると

「人よりも努力をすれば必ず売れた」時代なんです。

(誤解ないように言っておくとウチの親父は一日16〜18時間働いてその後

 毎日勉強してましたからね。楽して稼げたという意味ではないので。)

 

そんな中、他店との差別化を図るためにさまざまな催事(イベント)や

サービス合戦がはじまり店舗の拡大や自社ビルや店舗のリニューアルを行なう事が

 多くなります。景気良いという事も相まって。

 

この時すごく多かったのが「デザイナー(自称含む)にお任せ発注」。

 

 『とにかくカッコ良くしてくれ』

 『売れるお店作りを……』

 『サロンのようなゆったりとしたセレブな空間を』

 

最後にみんなこう付くんです「よく分からないからあとよろしく」。

 

もう火を見るより明らかですが上手く機能したお店なんて本当に数えるほど

だったと思います。当時。

 

あったケースとしては、

 

デザイン決定→施工途中にオーナーの鶴の一声で全手直しが入るケース。

 

有名デザイナーの設計によるもので必要以上に予算がかかり、

あまりにデザインが先行しすぎてお店として機能出来ていないケース。

 

せっかくデザインされたお店が出来たとしてもオーナーやスタッフが

自分たちの使い勝手の良いようにどんどん変更するケース。

 

これは小売店に限った話ではなくて 製造の現場でもあった事で、

 

行政などと組んで海外に発信をするケース。

 

一時的にパッケージを作ってそのままになっているケースなどなど。

 

要は、

 

「デザイナーに表層的なデザインだけを発注してしまった」 

 

「差別化、独自化を”デザインが悪いから売れない”と決めつけてしまった」

 

「デザイナーにお任せで自分は勉強しなかった」

 

お客さまにお店を知って頂くためのタッチポイントは上記にも書きましたが

様々な種類があるとしてその背骨となる「デザイン」を経営者とデザイナーと

共有しながら作っていくという作業をしていないんですね。

全くといっていいほど。

ないよりあった方がお客さまに伝わり易くなるものなのに。

 

で、私、関さんに何度となく行なった京都店の打合せの序盤に言ったんですよ。

 

「正直デザイナーという職業の方というのはよく分からない」

「実はちょっと苦手なんですよ。」 って。

 

えーと。

 

続きます。すぐ書きます。スイマセン。