着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

こっちの都合ばかりいっている業界はマズイ

 

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こんにちは。オオツカです。

          ※今回最後にお知らせがあり〼。本日23:00までのアレ

 

たまーには着物そのものの事を書かないとただのマンガ好きの

着物屋のおっさんといわれてしまいそうなのでお店や業界話ではなく

着物そのものについて書いてみようかと思っている今日この頃ですが

みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

 

今回のテーマは「洗える着物」について。

その中の一つを中心に。

 

全く着物について全く情報がない方は、

『え?着物って全部 絹なんじゃないの?」と言われる事も。

今でもそう思っている方は一定数おられていて、そういうイメージなんだろうなぁ。

 

着物の歴史とか装束についてとかそんな事やりだすとキリがないのと、

私がそっち系が勉強不足なのがボロボロ出てくるのでそこはやりません。(笑)

 

Webで死ぬほど詳しく説明されているサイトもありますのでご興味ある方は

お調べ頂くとして、(検索すると山ほど出てきます)

まず今回の「洗える」「洗えない」の基準からハッキリさせておきましょう。

 

基準【 お家で自分で簡単に洗えて手入れ出来るかどうか 】

 

ハイ。以上です。

 

なので比較的手入れが簡単に出来る素材、

「綿」「ポリエステルなど他合成繊維」

 

手入れが自宅では厳しい、困難な素材

「絹」「麻」「毛」

 

に超ざっくりと分けさせてもらいます。

 

中にはですね複数の素材混合で作る交織なんかもあるのでややこしい事

この上ない。こういうのもいわゆる着物離れになっているのかなーと。

 

で、今回は「ポリエステル」の着物とその製作について。

 

みなさんの身の回りに必ずといってもいいほど使われているあの素材。

洋服のみならず生活の中でいろんな形で関わっている化学繊維の一種です。

 

歴史的には50年ほど前に誕生し、日本でも工業化されました。

着物として登場したのは今から30年前後前だと思います。

その当時はですね。ものすごい「イロモノ」として見られていたんですよ。

高尚な着物がそんな素材で作られるなんてバカにしているのかと。

それはそれは製造したメーカーは各所から叩かれたようですよ。

 

その原因として多かった欠点は、

 

・生地にプリントをする技術があまり発達しておらずペンキで塗ったような風合いに。

 微妙な色合いの再現などがまだまだ出来ていない。

 

・生地に光沢感が出る物が多く手触り、見た目の質感が絹の着物と比べ

 一目瞭然であった。その上柄も安っぽいイメージの物が多かった。

 

・吸湿少なく汗を吸収しないので蒸れる。暑い。

 

・静電気が発生して着物の裾周りがくっついて動きにくくなる。

 ホコリを吸い付けてしまい汚い。また、滑りやすく着付けにコツがいる。

 

・熱に弱い。

 

など。

 

で、これらのデメリットに対して得られるメリットとしては

 

・洗濯機で洗える。干せる。乾くのが早い。縮まない。

 

・色落ち、日焼けの心配がほぼない。汚れても油性染料などの汚れ以外は落ちる。

 

・安い。大量生産出来る。

 

デメリットも大きいけどメリットも大きい。

でもね、ココまで聞いてお気づきの方もいらっしゃると思うんですが、

デメリットの部分なんて技術革新が進めば後々解決出来る事が多いんですよ。

 

現在出回っているポリエステル素材の着物は触ってみても

絹と瞬時に判断出来ないほどレベルが上がっていますし、

染めのレベルもデジタル技術の発展と共にくっきりと細かい部分まで

表現出来るようになりました。

 

洋服や身の回り品で絶対に「絹」じゃなきゃいけないなんて事ありませんよね。

 

 もちろん絹っていう素材は人の肌に非常に合う。着ていて気持ちいいんです。

でも、高価であったり手入れが大変であったりと人によっては着物を着る為に

躊躇してしまう部分が勝ってしまうのも事実。

 

「 着物 = 絹 = 自宅で洗えない(汚せない)」

って構図が今の着物業界縮小の要因の一つなんですよね。

 

 そういう意味ではこのポリステルの洗える着物と正絹の着物の住み分けが

きちんと出来て定着していれば良かったのになーと思います。

ポリエステルなどの合繊を否定的な方も多いのが現状なんですよね。

 

どっちも着物なんですよ。

 

要は着る場所、ステージによってお客さまが幅広く選びやすい環境を

もっともっと用意してご提案をするべきであったかなーと思います。

まあ、まだまだ今からでもいけるでしょうが。

 

で、現在のポリエステル生地の印刷の状況はですね

インクジェットプリンターの特性上一定以上の厚さの生地は

あまり扱えず、薄手〜中厚の生地が中心なんですが

それも時間の問題のようでいずれ様々な厚さ、特性の生地に印刷出来るように

なるようです。某大手プリンタメーカーの方に聞きました。

(あ、絹や他の生地にも印刷出来ますからね。念の為。)

 

というのもですね、高級アパレルの集まるイタリアでは急速にこの

デジタルインクジェットの印刷に変わってきており、それに職人技術を

交えた新商品などが次々と生まれてきています。

すでにポリエステル生地などにデジタル技術で染めをするという事が

現代の工芸技術としての地位を確立しつつあるという事です。

 

デジタルや化学繊維で行なった方がよいもの。

人間の技術や昔ながらの知恵の方が上回っているもの。

それぞれの良いところをハイブリッドさせ、それを発信する。

それが大事なことなのかなあと思います。

もちろんそれ以前に解決していかなければいけない事も多々ありますがね。

 

んー。相変わらずまとまりませんが、

着物もファッションですからね。

大前提として単純に「着たい」と思う格好良さやいつもと違う凛とした姿を見せる

もっとそういうアイテムになるべきかなと思っています。

 

絹をはじめその他の素材のお話はまたいずれ。

 

本日も最後まで読んで頂いてありがとうございます。

 

 

 ※本日 2015年5月7日23:00から本ブログでもちょくちょく登場する

 短パン社長、奥ノ谷圭祐氏が「アウトデラックス」に登場します。

 

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文面からすでにヤバそうなんですがお時間ありましたら是非ご覧下さいね。