着物屋をやっています

兵庫県の着物屋 有限会社みさ和の2代目がつらつらと商いに関係ある事ない事書いています

わたくし二代目なんですが、無理なものは無理という話。

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こんにちは。オオツカです。

 

ウチの会社は私の父が創業で私が生まれる前から独立して、

今年で会社法人化してから40周年となりました。

で、私が社長に就任して5年が経ち、父は現在会長職として、母は専務として

今も現役で頑張ってもらっています。

 

今回の話は、巷で話題の大塚家具について思う事を少し。

 

業界も違えば規模も立場も違うんですが、この件はそれでもいろいろと

感情移入して見てしまいますね。

設立の年度や社長交代の時期が近い事、父がカリスマ性をもった努力家(規模は違う)

である事、今回のゴタゴタがお互いの今後の方向性の考え方の違いである事、

そして、「大塚」ですやん。意識しますよね。

 

私の父は苦労人で(自分では言わない)、学はなくてもとにかく頑張って働こう

と一生懸命な人で非常に勉強家なタイプの人間だと思います。

京都をはじめ取引先の開拓には直接赴き、

信用がなければ取引すらさせてもらえない中で(当時着物は全盛期近く)

足げく問屋に通い最初は門前払いを受けたりボロカスに罵倒されたりしながらも

少しづつ信用を積み重ねて取引先の口座を増やしていきました。

 

当時の呉服ではいわゆる手形取引が多い業界でしたが、現在に至るまで

現金で短いサイトでの支払いを続け信用を積み重ねていきました。

大酒も飲まず、遊ぶ事もなく、柔和な物腰で取引先、お客さまに接し

勉強を重ねる事を継続し地元では評判のお店に成長していきます。

 

その代わり、多忙を極め家にいる時間は圧倒的に少なく

私が子供の頃寝るとき、起きた時にあった記憶がほとんどありません。

でも、年に2度の旅行やお店が安定してきてからは夕食を一緒に取る時間が

増えてきたりと家族に対しても人一倍気を使っていたと思います。

 

この手の話を続けるとずるずるいっちゃいそうなのでこの辺でやめますが、

 

父はスタッフやお客さまに愛され、地域との関係性を築き口コミで紹介を頂き、

勉強をして、さまざまなコネクションを形成した上で、

誠実に確かな商品を良価で提供をするという社長の人柄のおかげで商売が成り立つ

というスタイルを続けて、今日弊社は生き残る事が出来ている訳です。

 

で、先ほどの大塚家具ですが両者の主張は、

 会長(親父)→ 高級家具を店員が付いて接客をするスタイルの継続

 社長( 娘  ) → カジュアル路線の転換。低価格帯の取り扱い スタイルの変革

という事ですよね。

 

この件に関してはいろんな番組や報道で取り上げられて、

社長のいっている事が正しいとか会長の意見の方が流行に流されない正道だ、

などどっちが勝つのかとWEB上でも盛り上がりました。

結果、株主の支持を多数受けた娘が社長継続、会長の案は否決という事になります。

 

ある人は会社はそのカラーや伝統、思いは絶対に継続しなければいけない。

古い事だけで事業を継続できないのであればそれプラス新しい事業

両立できないのかとおっしゃる方もいらっしゃいます。

 

わたくし二代目に就任していますが、その上でこの意見に対して言わせて頂くと、

 

「 無 理 」 

 

もちろん努力はしますがね。

 

私と父は良く似ているといわれますが、まるで性格・行動・得意な能力が違います。

父のやり方を今後ずっと再現、発展できる自信はありません。

出来る人は当然のように「なんで出来ないの?」って言われるかも知れませんが

 

まず私そんなに器用ではないし、頭悪いし、人見知りだし、マメでないし、

着物の知識が全然足りないし、話下手だし、めんどくさいし etc…。

 

もし、今後父が亡くなった後私自身がやりたいと思う事が出来ないなか先代の

スタイルを無理矢理続けたとしても続けれられませんって。

自分でだれよりも自分のダメさを知っている、先代の偉大さを知っているんです。

無理なものは「無理」って言い続けますし、じゃあ自分で出来る方法を考えますよ。

なら、いっそ継がない方が双方しあわせかもしれません。

 

でもその上で父の会社を継いで継続したいと思ったので、

2年前、新しいブランド「大塚呉服店」を作る際に父に聞いてみました。

 

お金かかるけど、儲かるか分からないけど、今の路線は自分の能力じゃ

継続無理だし私が出来る方法でやらせて下さい。と。

 

「おまえがそう思うんならそれでいいんじゃないの」と30秒で話が終わりました。

 

これで終わった弊社の会長が器が大きいのか、適当なのかは分かりませんが、

これだけの事なんですよね。

私は40歳なんですが、これからもっと多くの後継者の方が多くなる業界ですので

自社の事はもちろんですが何かあたらしい可能性を打ち出す事が出来て

一緒に盛り上げるようになれればいいなと思っています。

苦手ですがもっともっと勉強していきたいと思っています。

 

ま、大塚家具をかばう訳ではないんですが、大きな家族問題とはいえ

おもしろおかしく書き立てて、かつてのKIMIJIMA問題みたいにならなければ

いいなと思うんです。

なので、「おわびセール」じっくり企画してネタにされないように

出来ればいいなと思っていますがどうだろう。

 

 

今日も最後まで読んで頂いてありがとうございました。